<愛すべき喜八、父ちゃん>

先日、柿の葉さんの日記を読ませていただき、木下恵介監督作品、花咲く港に、あばれはっちゃくの父ちゃん役、東野英心さんの父、東野英治郎さんが出演されていると知り、木下恵介ボックス第1集を持っていたので、見直して見た。


どうだろうか…面影があまりなく…失礼!…わからなかった(^o^;)この作品では若き笠智衆と日本人離れした顔立ちの上原謙の印象しかなかった。

私は好みとして、ワンシーンワンカット長回しで俳優同士のセリフ回しで人間を描く溝口健二監督や、ユーモアにとみ、端正な画面の小津安二郎監督の戦前作品が好きで、余り、木下監督は詳しく見ていなかった。

今回、柿の葉さんがご紹介下さったこともあり、改めて観賞してみた。

花咲く港は昭和18年の木下監督のデビュー作品。

二人の詐欺師が村人を騙し、造船業を興すとして、資金を集め、逃げる算段だったが、逆に村人の造船への熱い思いに打たれ、改心して自首するコメディタッチの作品。

戦局も押しつまった中でこのような牧歌的というか、娯楽性の高い内容を撮れたのに驚くが、作品の中でも太平洋戦争が勃発して、皆が一気に戦意高揚していく様は現在の目には、やっぱ不気味だ。

東野さんが演じた村人の魚業主、林田は、戦争が始まっても利益、つまり個人資本を大事にし、笠さん演じる馬車会社の社長、野羽玉から戦争に協力しない貴方はそれでも日本人か!とののしられる。

大東亜共栄圏を作りアジアを繁栄させる大義名分の戦争自体が国家資本を追求した末のことダヨナ…。資本主義を推し進めると外部への侵略や戦争を仕掛ける危険性をやはり感じてしまう。

木下監督、群衆のシーンは上手い、ダイナミックだな。人間同士の捉え方、撮り方洗練されてるナ…既に☆

さて、花咲く港で村長を演じた坂本武さん。戦前戦後の松竹作品には本当によく目にする俳優である。

私は小津安二郎監督の喜八物、と呼ばれる人情話が好きだ。そこで主役の喜八を演じるのが坂本武さんだ。
花咲く港の後に久しぶりに昭和10年の東京の宿も見た。


坂本武さんと子役の突貫小僧(左)。

現在見れる喜八物は出来ごころ、浮草物語、東京の宿、長屋紳士録の4本。

いづれも、喜八は下町育ちぽい、ちょっと粋で、酒好きで、お人好しの憎めない性格のおじさんである。

私は最近、男!あばれはっちゃくにはまってから、父ちゃんがこの喜八とかぶって見えてしまう。体型も少し太り気味なので尚更…。

寅さんシリーズにはまだはまってないが、寅さんは風来坊だが、何処と無く、そんな人柄だったと思う。

今では喜八同様、父ちゃんも私にとっては愛すべき人物だ。