<三人>


第78話お尻ペンペン○ヒ作戦
・古川ロッペイ(竹内実さん)

第84話あばれ家庭教師○ヒ作戦
・長谷川ヒロシ(熊井田学さん?)

第86話かつげ自転車○ヒ作戦
・山口コウジ(金城立也さん?)

はっちゃく写真集のコラムを読むと、荒木直也さんが三代目はっちゃくに決定した以前に、百人を超す候補者の中から三人ほどにしぼり、ゲストとして出演してもらい、可能性を試したことが書かれている。推測するとこの三人と思われる。そして三人ともはっちゃく役の条件をパスしたとある。因みに条件とは、あばれんぼうだがどこかにくめない人なつこさと愛嬌があること、学業と仕事を両立するファイトと体力があること、両親と学校の理解と協力があることがあげられている。大変な条件だ。

この三人ははっちゃく役の可能性があったが、残念ながらこれだ!と言える決め手がなかったようだ。だけれども、それは、彼らの持ち味とはっちゃくとは少し違っていたということで、作品の中ではそれぞれ印象を残し、光るものを持っていた子役さんであったと思う。

さて、この中で最初のロッペイ少年。ロッペイは父子家庭で仙海和尚に面倒をみてもらっていたが、ひょんなことから桜間一家に世話になる。長太郎たちと食卓を囲むロッペイ(他人の子を家に一時であれ迎えいれる桜間一家は懐深い)だが、叱る勢いで思わず長太郎を箸で叩く父ちゃんを見てロッペイは言う。(違うなあ、ここんち、俺のオヤジ頭叩いたりしないぜ)

そしてのちに三代目で栗又さんが滝竜次役で桜間一家と食卓を囲んだ際も、長太郎を箸で叩く父ちゃんに、竜次さんは(この家ではよく子供を叩くんですか?子供を叩くのはよくありません)と父ちゃんに諌めている。

叱りとはいえ叩くことを諌められてしまった父ちゃんを見ると、叩くという演出が父ちゃんらしさを出しているとはいえ、作り手側や東野さん自身ももしかしたら叩く、手をあげるということに、長太郎への愛情ゆえと分かってはいても、複雑な思いもあったのではないかと、ふと思ってしまう。

子供の頃、あばれはっちゃくといえば長太郎が激しくしかられている迫力あるシーンの印象が強くあった。丁々発止としたやりとりの親子の姿はインパクトがあって、父ちゃんの名セリフが有名になるとともに、演出には欠かせないシーンとなったのかな、と思うけれど、ロッペイや長太郎を卒業した栗又さんのこの発言を聴くと、そうした演出に対する作り手や演じる東野さんの相克みたいなものがあったのかな、と少し、思ってしまった。けど、そうした強い表現だからこそ、自分の記憶に残っていたのかな、とも思う。