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<交わす>
長太郎のクラスメイトの最初の印象は悪かった。
越して来るなり、洋一と邦彦と殴りあい、こてんぱんにやっつける。
みゆきちゃんも、長太郎に裸を見られたというのもあるが、越したてで、でかい顔をして長太郎のやり方を押し付けた反発があった。
みゆきちゃんはすごく公平さを持ち合わせた少女だと私は思っていて、力でねじ伏せようとする長太郎に、合気道の試合を申し込むことでたちむかおうとした。
多分、みゆきちゃんは勝つこと前提で申し込んだのだと思うが、結果は長太郎がみゆきちゃんを投げ飛ばすことで終わった。(はっちゃく投げ〜)
何とかみゆきちゃんと仲直りをしたい長太郎は紙飛行機の手紙をみゆきちゃんの部屋に投げ入れる。
(おれがわるかったよ。ボインまだいたいかい?本当にごめんな。)
(きみは最低よ。私を投げ飛ばすなんて、ますます許せないわ。)
長太郎の手紙に微笑みながらも、長太郎に向けては冷たい表情をむけるみゆきちゃん。返事も紙飛行機。
長太郎に反発から入ったみゆきちゃんが、少し、長太郎をそんなに、嫌な奴じゃないのかな…と見直しているよう。
でも、生身で長太郎にたちむかって投げ飛ばされた時にすでに何かこころ通じるものがあったのカナ?合気道の精神で正々堂々挑んできた長太郎に礼儀も感じただろうし。
生身でぶつかりあって、こころ通いあうというか、相手を理解できるのは子供ならではかもしれない。
みゆきちゃんは反発から長太郎を知っていくが、親友になる洋一は、長太郎の言葉に素直に耳を傾け、長太郎を知っていく。
第2話でクラスで飼っていたリスが盗まれ、長太郎は皆から犯人だと疑われてしまう。
汚名を晴らす為、長太郎は真犯人を探すことにする。ドンペイにリスの匂いを嗅がせて、捜査するが、何故か洋一のところに来てしまう。
長(お前はどう見たって犯人って顔じゃねえな。)
洋(そうだろう!)
…
洋(君、そんなに犯人を探したいのかい?)
長(ああ、俺は男だかんなぁ。)
洋 (男?)
長 (お前たちに猪だってバカにされたって平気だけと、泥棒だって言われたら我慢できねぇんだ)
洋(ふぅん…)
長(田舎のじいちゃんがいってたぜ。男は誇りを大事にしろってな)
洋 (君って、珍しい奴だな…)
この会話がきっかけで長太郎と洋一は仲良くなったな…。因みに私の家の者は洋一がお気に入りだったナ(^_^;)。
きっかけは違えど、ほんの少し心が通っていく様を描く初期の二作は、改めて見るとみずみずしくてよいな。
はじめて言葉を交わした日の、その瞳を忘れないで…なんて歌を思い出す。