<二代目はっちゃくが出会った人びと>


(第37話売るゾ焼き芋○ヒ作戦)

・焼き芋売りの神原のおばさん(船場牡丹さん)

1人で岩手から出稼ぎに来た焼き芋売りのおばさん。浄念寺に置かせてもらっていたおばさんの屋台を長太郎が勝手にひいて、生焼けの焼き芋を売ってしまい、父ちゃんに大目玉。その代わりに、長太郎の友達の弘子ちゃんがおばさんの実の娘に似ていたことから、弘子ちゃんに焼き芋売りを手伝ってもらう。弘子ちゃんに手伝ってもらっているおばさんのささやかな嬉しさと実の娘のように慈しんでいる表情が、家族と離れている寂しさの中だからこそ温かく感じられる。


出稼ぎという、心ぼそく不安定な中でも、娘に似た弘子ちゃんにプレゼントを買ったり優しさを失わないおばさん。おばさんの寂しさを長太郎が理解して、腰を痛めてしまったおばさんの元へ、実の娘を呼ぶ。弱い立場の者へ力添えする長太郎の行動力が、爽やかに、力強く感じられる。

この作品の脚本は市川靖さんという脚本家さんが書かれている。市川さんの作品を見てみると、大人の中で翻弄される弱く小さき子供の立場、弱い者への視線、不安定な状況でも懸命に生きる人々を描く作品が多い気がする。

好きな第9話では、見栄や虚栄心から嘘をついて学校に行けなくなった邦彦をさりげなく長太郎たちが救ってやる話で、救いを感じたし、何回か家庭の都合で転校の不安に苛まれる章の支えになる話も市川さんが書かれていた。

柿の葉日記の柿の葉さんのブログを読ませていただき、あばれはっちゃくの脚本家さんについて書いておられ、とても興味深く拝見した。そこでは市川さんは、ピンク映画、産業映画、テレビの構成台本をやりたがらなかった方だったということを知った。それを踏まえ男!シリーズの市川さんの作品をみると、芯がぶれないというか、信念をもって作品を書いていたのだなと思う。そして、もうお亡くなりになっていたことを知って、尚更、殺伐とした世の中を見渡して寂しく感じる。