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春という季節も相まって、穏やかに、サギやカモを集め、襞細やかに、心地よい音をたてながら流れていく。
淀みない流れに、気持ちもサラサラそうあれたらよいなどと、心を寄せている。
今は川は、遠くに見て思うもの、になってしまったが、水面に近い釣りびとなどを見ると、彼らにとっては川は入りて思うもの、なのかもしれない。
小さい頃は腰まで浸かって遊んだり、もっと小さい頃に頭から川に落ち、流されまいと、川藻を掴んではちぎれ、掴んではちぎれした怖い思いと、そのあとの水を吸った衣服の重さを何と無く覚えている。
川は身近にありながらも、託す思いも様々、ひとそれぞれだろう。
手綱をとって自家薬籠中、恵みをそこから得る恵みの川。
はたまた、希望、やるせない思い、失望を包みこんでくれる懐深い川。
川との関わりは、こちらの年功、心模様によって変わるだろうが、決して縁が途切れはしないのだろう。